さて、ここでは実際に売却をする上でみなさまが特に関心を持つ「売却時の価格」に直接的に関係するお話をさせていただきます。
不動産の売却を検討されている方がリサーチするべきことの一つとして大切なのが、自分の不動産の価値を調べるための「査定」についてです。
しかし、査定には様々な方法があります。全てについて詳しく理解するのは困難ですよね?
だからこそ、不動産売却で損をしないためにも、今ここで「不動産の査定方法」について理解しておきましょう。
【3つの査定方法を把握しておく】
まずは、不動産の査定方法には以下の3つの査定方法があることを理解しておきましょう。ここから1つずつ詳しく解説をしていきます。
①取引事例比較法
まず取引事例比較法についてですが、取引事例比較法とは、対象不動産と同じような条件の不動産の取引事例の価格と比較をしながら、他の取引事例の価格をベースに、「市場全体の動向」や「取引の時期」などを踏まえて調整を行い、対象不動産の査定価格を算出する方法のことを示します。不動産の査定価格を算出する際に、最も基本的な査定方法として使われています。
②収益還元法
収益還元法とは、対象の不動産が将来生み出すであろうと予測される「純利益」と「現在価値」を総合(収益価格)して査定価格を算出する方法のことを示します。
ここではあまり関係ないかもしれませんが、投資不動産の査定価格の算出において多く使われている方法です。
③原価法
原価法とは、対象不動産を仮にもう一度建築した場合の原価を割り出したあとに、建築年数による低下した価値を原価修正し、「現時点の価値を推定する方法」です。
建物や一戸建ての査定価格を算出する際に使われている方法です。
上記のように、不動産売却の際に重要な査定方法は3つとなります。ぜひ、念頭に入れておきましょう。
それでは、ここからは売却をする物件の種類ごとにポイントとなる査定に関するお話をさせていただきます。
【マンションのポイント】
マンションを売却する際に、どんなところが査定価格に影響するのかをここでは解説させていただきます。
<マンション査定に影響する7大ポイント>
①最寄駅からの距離
東京や大阪など、都心かどうかや駅からの距離が査定価格に大きく影響します。徒歩10分以内というのが一つの目安です。また、新幹線が止まる、特急が止まる、快速が止まるなどということもポイントになります。当然このような主要駅の方が査定価格は高くなる傾向にあります。
さらに、複数の電鉄(JRと私鉄、地下鉄)にアクセスが可能なマンションは、より査定価格が高く評価されるポイントとなります。
一方で、地方などの場合は駅までの距離よりも、駐車場が重要視される傾向にあります。
理由はみなさんもお分かりの通り、都会と違って電車やバスなどの公共交通機関の利用よりも「車移動」が主体だからです。
②周辺環境などの立地条件
徒歩圏内に買い物ができるスーパーがあるのか?ということも重要なポイントになってきます。また、子供の学校までの距離や公園などの遊び場が近くにあるか?といった点も査定価格に影響します。
(家族連れの購入者の場合は、必ずといっていいほどこのポイントを重視します。)
その他、病院・郵便局・コンビニ・銀行・役場などがあるかも重要なポイントです。さらに、「夜間の緊急病院」があったりするとさらに高く評価されます。
つまり、生活に便利な施設が近くにあればあるほど、査定価格が高くなるということです。
また、マンションが国道や高速道路沿いなどに建てられている場合は、交通量や騒音なども査定に影響する場合がありますので、高速道路側に防音壁があるかどうかも確認をしておくと良いでしょう。
ここで補足ポイントですが、大型トラックの交通量が多い場所では、壁や窓ガラスの防音性能まで細かくチェックされます。このこともよく覚えておきましょう。
③眺望や方角など
当たり前のことかもしれませんが、部屋やバルコニーからの眺望が良い物件は人気があり、これも高額査定となるポイントの一つです。さらに、夜景が綺麗な場所に建てられているマンションは、階数が上がるほど高額査定となります。ただ、気をつけるべきポイントは、近隣に超高層マンションの建設予定がある場合です。このケースにおいては、残念ながら査定ポイントが下がる可能性が示唆されます。
また、日当たりも関係してきます。南向きである方が査定にもプラスになり、角部屋であればさらにプラス査定となるでしょう。西向きや東向きであれば、南向きに比べて査定価格は若干下がります。
④築年数や物件のグレード
マンションの築年数が浅ければ浅いほど査定額は高くなります。また築年数では、1981年(昭和56年)以前に建てられたマンションなのか、それ以降に建てられたマンションなのかが重要になります。(1981年6月以降に建てられているマンションは新耐震基準を満たしているから)1981年以前の震度5程度までの地震に耐えうる設計から、新基準では震度6強以上の地震でも倒れない設計と基準が変わりました。
1981年以前のマンションでも、補強工事をして新基準に適応しているマンションも多数存在します。この新基準に適応しているマンションの方が高く評価されるので、ご自身の所有物件もぜひ調べてみましょう。
マンションのグレードも査定に影響してきます。建築した会社が同じでも、建物によってグレードが分けられていたり、同じマンションでも部屋によってグレードが違うという場合がありますよね。このグレードによっても査定価格が変わってきますので押さえておきましょう。
⑤保守・セキュリティー
定期的なメンテナンスが実施されているような(管理組合がしっかりと機能している)マンションや、近年大規模な改修工事を行っているマンションは査定ポイントが高くなります。
(大規模修繕改修工事を行えば、次に行うまでには時間的余裕が生まれるため査定評価は高くなる)また、管理人の有無や24時間体制で管理人が常駐しているマンションだと高い評価になる可能性が高まるでしょう。
エレベーターのセキュリティーがしっかりしているマンションも、安全面の評価としてカウントされます。ここも、要チェックポイントの一つですので、ぜひ確認しておきましょう。
⑥リフォームや使用状況について
過去に行ったリフォームはプラス査定となるのか?この疑問に対しては「No」です。リフォームするのに200万円掛かったからといって、査定額が200万円高くなる訳ではありません。「査定額を上げるためのリフォーム」を検討する方が非常に多いのですが、赤字になるリスクがとても高いため、自己判断で行うことは控えた方が良いでしょう。
また、部屋の使用状況も査定には大きく影響します。壁紙の汚れなどは売却時に交換するので問題ありませんが、フローリングの損傷などは改修するとなれば費用が高額になる場合があります。そのため、大きな傷がないかチェックしましょう。
部屋の汚れについては、掃除して落ちる部分については査定には影響しないとされています。しかしながら、部屋の汚れなどが目立つと内覧に来られる方への印象が悪くなりますので、内覧時までには目に見える部分は綺麗に清掃しておくようにしましょう。
⑦査定時の時点修正
マンションの査定を依頼すると、「時点修正」という言葉を不動産業者から聞くことがあるかと思います。この時点修正とは、新築時からの経過年数や過去の取引事例を参考に、現在の価値を算出する方法です。この点に関しては、とても細かい内容となるので、「時点修正というものがある」とだけ覚えておけばよいでしょう。
【一戸建てのポイント】
一戸建ては、実際に現地を見ないと正確な査定額が出せない場合が多いと言われています。ここでは、一戸建ての査定価格を決める要素や業者選びのポイントなどを知っておきましょう。
<築年数による査定価格の違い>
前述でも申し上げましたが、建物は築年数によって査定価格が決まります。特に、一戸建ての場合は「築年数10年」で建物の価値はほぼゼロになるとされており、築10年以上の中古住宅の査定価格は土地の値段のみということになります。
少しでも高く一戸建てを売却したいという場合は、築10年までの築浅の状態で売却するのがベストと言えるでしょう。長く住んだ家を売却する場合はある程度妥協することも必要かもしれないので、その点も念頭に入れておきましょう。
<その他のポイント>
マンションのケースと同様で、最寄り駅の利便性や駅からの距離なども重要なポイントとなります。周辺環境が良好かなどの条件も当然ながら影響してきます。また、一戸建ての特徴ですが、土地の価値が上がっていればその分査定価格も上がるということも押さえておきましょう。
【アパートのポイント】
ここでは、アパート1棟を売却する際のおさえておきたいポイントをお話しさせていただきます。以下の3点にまとめましたので、よく確認しておきましょう。
<①アパート1棟の査定は困難>
<②高い査定が付くポイント>
基本的にアパートの売買は投資対象の売買ということになるため、将来の利回りが少しでも高く想定される物件ほど、査定価格も高くつきます。もちろん、買取業者などに売却をするケースもありますが、いずれにしても同様のことですのでお話をしておきましょう。具体的には、過去・現在・将来見込まれる入居率、賃貸需要の伸び、高い家賃を取れる確証があればあるほど、査定価格は高くなります。
ただし、どれだけ高い入居率を示していたとしても、家賃滞納が多い物件の場合は、査定のマイナス要因となります。アパート住人に連帯保証人がついているかどうかも、査定に影響を与えてきますので、注意が必要です。
<③古い物件にもチャンスあり>
アパートは、築年数が古いからと言って売れにくいというわけではありません。なぜなら、そこには減価償却に関わる大きな節税効果が期待できるからです。木造アパートの減価償却期間は22年ですので、築23年以上の物件の場合であれば、最短4年で減価償却をすることができます。これは買主にとって、大きな節税効果をもたらしますので、ぜひ覚えておきましょう。この節税効果を狙って、むしろ古いアパートを探している投資家や不動産業者が多いのも事実です。
【土地のポイント】
さて、最後は土地の売却に関するポイントですが、土地は価値の高い資産となります。土地相場というのはおおよそ決まってはいるものの、高く売却するにはどのような方法があるのかを見ていきましょう。
<土地の市場相場を把握しておく>
<土地売却は余裕を持つことが大切>
通常、最初の購入希望者は希望価格よりも安い価格でオファーがくることが多いです。それを断り、次のオファーも希望価格に合わないからと断っていくうちに売却できないまま時間が過ぎてしまうというリスクが生じます。そのため、しっかりとした「売却時期」を計画し、おおよその売却価格の許容範囲を設定しておきましょう。後になって、「あの時売却を決めておけばよかった」と後悔する人があとを絶ちません。土地などの不動産を高く売却するには余裕を持つことが重要です。
<オークションを利用>
土地などの不動産を高く売却する方法の一つにオークションがあります。オークションであれば、出品している期間中に複数の買い手と商談することができるため、その中で一番希望に合った売却価格を提示した買い手と取引できます。これは、上記でお話をした「余裕を持つこと」につながるポイントです。ぜひ、このポイントも念頭に入れておきましょう。